2007年セキュリティ業界業績天気図

 残りわずかとなった2007年。犯罪情勢も刑法犯認知件数が減少しているが、治安への不安を訴える声も多い。こうした状況を踏まえ、セキュリティ機器、システムへの期待は引き続き高い。今後は機器、システム間の連携を踏まえた「統合化」が一層進むことが予想される。また、新たな技術を応用したシステム提案も増えていくのではないだろうか。セキュリティ業界全体としては成長局面にあるとの声は多いが、導入単価の下落や企業間競争の激化など、業種別に見ると厳しい状況が垣間見られる。
 本紙では、セキュリティ関連メーカーなどを対象に、年末恒例となった業界総括アンケートを実施。業績天気図や注目トピックスなどへ多数の回答を得た。本紙では今号と次号の2回にわたり、アンケート結果を踏まえ、業界内の注目トピックス、業界天気図として業種別の状況を紹介する。

編集部分析

「曇り」回答が多数、各企業は慎重な見通し

 回答全体を見ると、上期は「晴れ」と回答した企業が多かったものの、下期はその割合が減少。一方、「雨」という回答も、上期に比べて下期は減っており、若干の底上げ感が見られる。今回最も多かった回答が「曇り」で、全体的には堅調に推移したようだ。
 近年との比較では、一昨年は「晴れ」との回答が多数を占め、昨年も複数の業種で「晴れ」との声があった。今回のアンケートでは、「晴れ」という回答が各業種とも減っており、今後の見通しについて、各企業が慎重な姿勢となっているようだ。
 「晴れ」という回答企業の多くは、その理由として企業からの受注増を挙げている。海外への輸出については、好調、不調との回答がほぼ同数。為替相場が不安定だった影響もあるのかもしれない。官公庁への受注については、大きな変化はなかった模様。
 好不調の原因として、「新しい政府の施策が発表された」といった行政への意見。市場環境の変化として、「遊技機規則改定でパーラー市場低迷」を挙げる向きもあった。また、企業側の理由として新商品紹介の準備不足」といった、マーケティング面の課題を指摘する意見もあった。



天気図
監視装置
監視装置(上期) 監視装置(下期) 監視装置(曇り)

住宅情報システム
住宅情報システム(上期) 住宅情報システム(下期) 住宅情報システム(曇り)

出入管理装置
出入管理装置(上期) 出入管理装置(下期) 出入管理装置(曇り)

映像監視装置
映像監視装置(上期) 映像監視装置(下期) 映像監視装置(晴れ)

一般防犯機器
一般防犯機器(上期) 一般防犯機器(下期) 一般防犯機器(曇り)

鍵関連
鍵関連(上期) 鍵関連(下期) 鍵関連(曇り)

情報セキュリティ
情報セキュリティ(上期) 情報セキュリティ(下期) 情報セキュリティ(晴れ/曇り)

その他
その他(上期) その他(下期) その他(曇り)






アンケート項目

  1. 1、貴社の業態(主な生産・販売品目)を下記の項より選んで下さい。

      A、侵入者検知器 B、監視装置 C、住宅情報システム D、出入管理装置 E、映像監視装置  F、一般防犯機器 G、鍵関連 H、情報セキュリティ I、その他
  2. 2、貴社のトピックス

    ☆貴社にとって年内最も関心が高かった業界の出来事はどんなことですか(=以下の中から○を5つ付けてください)簡単なコメントもお願いいたします。
  3. ■2007年のセキュリティ・トピックス(順不同)
    (1)警察庁長官に吉村博人氏就任(2)警察庁生活安全局長に片桐裕氏就任 (3)日本防犯設備協会 鈴木邦芳専務理事勇退、吉田正弘氏就任(4)JEITA新会長に町田勝彦氏(5)緊急地震速報10月一般活用スタート(6)東京消防庁総監に小林輝幸氏就任 (7)エレベーター、エスカレーター事故相次ぐ (8)地方の防犯設備士協会、拡大(9)CP電気錠、今春公表(当初八品目)(10)東京防犯優良マンション、施工前の審査実施へ(11) 千葉県が設計段階から全国初の防犯優良マンション認定(12)盗聴、フィッシングで初めて報告書発行(13)全防連、防犯優良ブザー認定(14) 防犯設備市場、17年度1兆1896億円(前年度比3・8%増)を発表(15)三洋電機とエルモ社、監視カメラで提携(16)鉄道新カード「パスモ」発売後、すぐ販売停止、JR東日本「SUICA」システムダウンで長時間ストップ(17)総務省、産官学連携でICT活用フォーラム開催(18)ペルコ社代理店、興和からディーボルドへ(19)初の提案型の研究開発事業公募(20)火災報知器、無線使用許可(21)「キッザニア東京」にALSOK出展(22)日本シーサート協議会設立、ネットワーク攻撃対応(23)社会技術研究開発センター、こどもの安全対象に助成 (24)IPカメラ、導入拡大基調へ(25)日本郵政民営化でセキュリティ特需(26)フジノン、世界初の32倍ズームレンズ発売(27)日防設、防犯映像システム評価用チャート作成(28)盗聴、盗撮対策で複数ATM監視可能製品発売(29)消防庁、自立避難困難者施設全てに火報・通報機義務付け(30)消防法一部改正、高層建築物の地震対策義務付け(31)NPO地域安全マップ協会設立へ(32)初の国主導によるテロ対策技術の連携強化の取り組み・始動(33)遊技機規定改正でパーラー市場低迷。パーラー向け防犯体制・設備強化にガイドライン作成(34)日本自治体危機管理学会、初総会開催(35)松下が総務省と共同で日本初の「ウォークスルー型」虹彩認証開発(36)PFIによる初の民間運営の刑務所スタート(37)情報事案対策へ国がセンター設立、来年4月始動(38)三和シヤッター工業がホールディングス設立(39)JAXA(宇宙航空研究開発機構)が、きく8号で初の防災訓練(40)日立、世界初となる国際標準準拠「セキュアプロダクト」開発のセキュリティ機能搭載タグ発売(41)ITスペシャリスト育成に二校採択(42)法務省、16才以上の外国人入国者の指紋採取、顔写真義務付け (43)RISCONで初のテロ対策特殊装備展開催 (44)NPO総合危機管理マネジメント協会発足 
     (コメント欄=上記以外に貴社が注目されたニュースをお聞かせください)

企業の回答

 読者アンケートで、最も関心を持ったトピックス第1位は、「日本郵政民営化でセキュリティ特需」。監視カメラ8万、記録装置2万以上の台数を新たに設置。入退室管理システムを含めて、近年では最大規模の導入案件となった。ただし、低額の入札価格を懸念する声や、「従来型カメラでの案件となり、大型案件ではあったが、技術的に革新は伴わなかった」との指摘も。
 2位は、「IPカメラ導入基調拡大へ」と「防犯設備市場、17年度1兆1896億円(前年度比3・8%増)を発表」が同数。IPカメラについては、「IPカメラを含めたネットワーク型監視システムの引き合い・納入が進んでいることを実感する」といった回答に代表されるように、具体的な導入案件ベースの拡大が見られる。防犯設備市場の拡大は、大幅な伸長ではないものの、全体として堅調だった模様。
 4位は「法務省、16才以上の外国人入国者の指紋採取、顔写真義務付け」。米国に次いで、世界で2番目となる外国人入国者への取り組みへの注目度は高い。5位は「鉄道新カード「パスモ」発売後、すぐ販売停止、JR東日本「SUICA」システムダウンで長時間ストップ」。カード一枚で、鉄道網をカバーする利便性が注目される一方、システムダウン時の運行体制や顧客対応、バックアップ体制などへの課題が明らかとなった。
 次いで「RISCONで初のテロ対策特殊装備展開催」。高額な入場料、入場時のセキュリティチェックなどが話題となったが、防衛省、警察、消防関係者も多数来場。多岐にわたり展示内容への関心も高かった。「日本での本格的なテロ対策に特化した展示会として注目。国内技術の海外へのPRと海外メーカーの国内参入の受け皿として、今後注目される展示会」との意見もあった。
 その他では、「緊急地震速報10月一般活用スタート」と「三洋電機とエルモ社、監視カメラで提携」にも高い関心。緊急地震速報については、当初国民へのPR不足などが懸念されたものの、日を追うごとに内容が浸透。セキュリティ機器メーカーや設備・施工会社による緊急地震速報関連システムの動きも、来年は更に活発化すると思われる。三洋電機とエルモ社は、セキュリティショーで新ブランド「V-HORIZON」を披露。国内監視カメラ市場での協業により、両社の強みを活かした製品開発などが進むことが期待されるが、業界内の注目の高さも覗える。
 情報セキュリティ分野で、高い注目を集めたのが、「日本シーサート協議会設立、ネットワーク攻撃対応」と「日立、世界初となる国際標準準拠「セキュアプロダクト」開発のセキュリティ機能搭載タグ発売」。具体的な対象に向け、手口が巧妙化、悪質化するネットワーク攻撃。企業レベルではなく、横断体制によって各々のノウハウを有効活用する仕組みができた点は大きな前進。日立のセキュリティ機能搭載タグは、国内で今後普及が期待されるタグのセキュリティ確保へ向けた取り組みが注目された。
(セキュリティ産業新聞07年12月25日号)


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