学校内に市道♂。断という特殊性、地元名門小学校の悩み

地域に密着した生活・散策道として長く親しまれて 地域コミュニティ活動や防犯カメラシステム、試験的に導入で安全面強化

 

インタビュー

佐賀市立赤松小学校樋口哲雄校長、森清隆事務長長

 佐賀城跡地周辺に、木製の荘厳な門構を持つ小学校がある。まもなく創立100周年を迎える、地元佐賀の名門校・佐賀市立赤松小学校(佐賀市中の館町1‐39、樋口哲雄校長、рO952・24・4225)だ。明治41(1908)年に勧興小学校、循誘小学校と日新小学校から分かれて開校、しかも門構えが表すとおり、佐賀城跡地にできた、とてもめずらしい小学校。こうした長い歴史で培われた地元に愛され、親しまれる開放された学校が、学校という垣根を取り払った地域住民と一緒になって子どもを育てるコミュニティースクール≠試行。さらに、より安全・安心な学校を目指す一環として、最近、実証実験とはいえ校庭横に防犯カメラシステムを導入した。
 そこで、樋口校長、森清隆事務長に現在学校が取り組んでいる子どもの安全施策や防犯カメラ導入の経緯などを伺った。

学校立地の特殊性が安全上、一つのネックに

 ―学校敷地内に防犯カメラシステムを実験的に設置することになったと聞きます。
樋口 数年前の大阪・池田小学校の事件以来、文部科学省をはじめ、教育委員会が学校安全の一環として学校にある門扉を閉めるよう指導がありました。学校に門扉があるところは、ほぼ実施しており、当校にも教職員や来校者用の駐車場があり、門の開閉注意を徹底しています。一方で、学校にはそれぞれ地域性があり、また開かれた学校≠テくりも進められてきており、地域の方々と連携しながら教育を進めるには学校独自ではできず、地域、保護者と学校の3者が連携しながら教育していくことが柱です。
 当校の場合、地域性というか非常に特殊性が強く、中心地に位置するほか伝統校でもあるため校区の地域の方々からの関心が高い地域です。
 もう一つ、当校の場合、学校の構造上、学校敷地の中に南北にまたがり一般道(市道)が走っており、通勤・通学などに校区内の一般の方々が自由に出入りできます。さらに(学校の立地が佐賀城跡に近いということもあり)景観上、周辺の環境との調和にも非常に力をいれており、門周辺では春の桜や5月のツツジなどが非常に綺麗に咲き誇ります。そのため、廻りの景色を楽しみながら散策できる散歩道として親しまれており、門扉を閉めることが難しいのが現状です。また、木製の門扉は開閉することはできますが、非常に大きな門であるため、毎日、一定時間に開閉することは非常に重労働でもあるほか、北側には門扉がある半面、南側には門はまだありません。これについては、市役所(教育委員会)では優先的に門扉を3月につける方向で検討して頂いています。門扉自体はアコーデオン式の物を検討して頂いていますが、万が一、近辺で犯罪などの犯罪情報があった場合、安全のためにこの門を閉め、犯人を侵入できないようにします。とはいえ、地域に開かれた一般道がある以上、常日頃は開放していく必要があり、そのためには安全面がもう一つ必要であると考え、森事務長等と相談してきました。当初は防犯カメラを南北の(門の)両端につける計画案が生まれましたが、予算等の課題もあり、教育委員会と相談するほか、同時に監視カメラについてはモニタリングレスの素晴しい監視カメラシステムがあることをパナソニックさんから紹介されました。  

地域コミュニティを柱に 実験的に防犯カメラ導入

   当時、教育委員会では『予算面で言えば、赤松小学校だけに設置するのであれば何とかなるが、佐賀市内には小中合わせて45学校(附属含む小学校32校、中学校10校、その他聾学校など)あるため、一校だけに設置することは難しい』という回答でした。そこで、当校には他校と違う地域の特殊性があるほか、防犯カメラ自体、犯罪抑止力があるほか、万が一の時には証拠も残るため非常に有効的であることを強く訴えました。
 一方、当校では教育活動をより確かで豊かなものにするには地域の力≠生かす教育がより効率的で効果的と考え、「地域コミュニティスクール方式」を取り入れました。これは地域に住んでおられる館長さんや会社役員の方々十数人に集まっていただき、学校運営協議会を作り、この中には幾つかのコミュニティがあります。その中に学校安全上、防犯カメラの設置を提案しました。同協議会では予算面などを懸念する声もあり、森事務長に予算面と色々な方法論を検討してもらいました。特に安い経費で進められるモニタリング方式がベストとの結論に達し、@地域の方々に市道が常日頃親しまれている事Aコミュニティスクール上、多くの方々が学校を訪れる事B学校周辺で多くの方々に活動して頂くことは防犯抑止力に繋がる事C開かれた学校づくりでは門扉は閉められない事を理由に、昨年8月に教育委員会に防犯カメラの設置をお願いしました。
 この間、パナソニックさんと事務長、および学校とで協議をし、モニター設置についてもお願いした結果、佐賀市内全ての学校が対象ではなく、あくまで実験校として11月に許可を頂きました。その時の条件が『地域の方々の同意を得ること』でした。そこで、自治会に何度も出向き、地域の特殊性をはじめ、防犯カメラ設置に際してのプライバシー問題などでは、事件等が発生した時、画像データを取り出すものであり、一般には公表しないほか、画像データの保管などのセキュリティ面も万全である事等を説明しました。これに対しては、自治会独自では『子どもの安全にためには是非付けて頂きたい』と、快く了解いただいたほか、学校運営協議会の方でも推進していただくなど、お陰さまで設置までは非常にスムーズに運びました。

周辺環境に強いパナソニックの監視システム
プライバシーも完全防御

   ―パナソニックの防犯映像記録システムということも、導入の決めての一つになったと言う事ですね。
樋口 そうです。色々なメーカーさんからご提案頂きましたが、パナソニックさんの製品は普段はモニタリングせず、必要な時だけ記録画像を確認できる(半導体メモリー映像記録システム)ため、運用面や保安上・プライバシーから見ても良いと思います。つまり、常日頃、登下校時の子ども達をはじめ、市道を往来する一般の方々を撮影する以上、その画像記録データの保管・運用がネックで反対する人も出てきます。しかし、この半導体メモリー映像記録システムは必要な時だけ、記録メモリーを取り出すため、とても便利で、またプライバシー上、最もセキュリティ面も高いことで、自治会の方々にも賛同を頂きました。また、校庭横に設置するため直射日光や温度、雨風といった自然環境にも耐えると聞いています。さらに煩わしい配線工事やモニター室の整備なども必要がなく、また一度に整備するのではなく、設置したい箇所に単独でシステムを組めるため、低コストで設置できるところも大変魅力です。当校の場合、まさにモデル実験校として導入しましたから、最適なシステムですね。
 といっても、最初試験的に設置したのは校門のほか駐車場全体も撮影できる様設置したため、登下校する子ども達の顔が小さ過ぎて分かりづらく、 従って不審者が入ってきても顔が判別できないという欠点があったため、パナソニックさんに相談し、現在設置されている位置に落ち着きました。これで、子どもの顔はくっきり分かりますから、仮に不審者が入って来ても行動と顔をしっかり録画できます。
 また、設置したことで地域の方や保護者からの学校に対する信頼感もさらに高まったと思います。色々な安全対策を既に実施してきていますが、その中に新たに手段が加わったことで、より安全性が高まったからです。また、(防犯カメラが設置されたことで)子ども達自身にも守られているという自覚ができ、安心・安全できる学校と言う意識が強まったはずです。

 ―ところで、画像を見る際の手順や資格などを規定した運用基準などはあるのですか。
 そうした認識はありませんでした。早速、そうした運用規定は策定する必要がありますね。学校関係者はもちろん、地域の了解も得ながら基準つくりを進めていければと考えます。
 佐賀市教育委員会は学校の安全対策上、絶えず門をロックする事を基本としてきています。しかし、当校の場合、校長が先ほど話しましたが、市道が南北にまたがっていると言う特殊性があるため、どうしても門扉を締め切る事が難しく、そこで、「門扉を閉めていいですか」とのアンケートを地元地域住民の方々に取ったところで、『絶えず門扉を締め切らなければ学校が安全上不安ですと言うのであれば良いですよ』と了解を頂いていましたが、これが当校の特殊性で見た場合、良い事かを学校運営協議会に投げかけて見ました。その中から、『防犯TVカメラをつけると子どもの顔が写るから、プライバシー上‐‐』といった反対的な意見のほか、『門扉に代わるシステムとして防犯カメラが有効的である』などの意見が出た事で、当校の権限で設置することにしました。つまり、安全を優先した場合、時代要請というべきもので監視カメラによる監視もやむを得ないと思います。
また、両門を締め切る体制にすることが教育委員会の条件でしたから、3月までに南にアルミ製の門が設置されます。

 ―南門にもカメラを設置するのですか。
 必要と思いますが予算上の問題もあり、今後の運用データ次第です。効果があれば、まず設置できると思います。

 ―実証実験の運用はいつまで続くのですか。
樋口 今回は実験モデル校として設置したものですから、一年間運用し、その報告をします。この間、教育面と安全面の効果があれば教育委員会には市内にも標準設備にすることも提案していく計画です。  

市内初のコミュニティ活動はじめ、地域住民挙げた安全運動なども

   ―コミュ二ティスクールは佐賀市内で沢山発足しているものですか。また、他にはどんな学校安全対策などが導入されていますか。
樋口 佐賀県内では赤松小学校のみです。赤松コミュニティには8つのコミュニティがあり、交通安全協会、交通安全指導員、青少年センター、青少年健全育成会や子どもお守り隊など約30名の方々で運営されており、登下校時の防犯、不審者対応や交通安全指導名などを行っていますが、子ども達が外に出る以上、欠かせないものです。
 このほかの安全対策としては、「3時に遭いましょう運動」を展開しています。これは地元の住民の方々に、例えば子どもが下校する時間帯である午後3時から4時半頃を目途にウォーキング、犬の散歩、ランニング、お買い物等を意識的にして頂き、子ども達の下校時に声を掛け、また子ども達の姿を見守って頂くものです。さらに、教育委員会からは、不審者情報や事件・事故などの情報が登録した人にメールで情報を流すサービスも展開しており、防犯・安全上、随分、役に立っています。さらに、町の主要な箇所には緊急時に警察と連絡できる緊急通報装置≠はじめ、防犯パトロール等も広く展開されています。 


   ◇ ◇ ◇ ◇  赤松小学校が試験導入した、松下電器産業パナソニックAVCネットワークス社製の次世代の記録装置である「P2半導体メモリー映像記録システム」とは、駆動メカニズムがないため本体が非常にコンパクトなほか、優れた耐熱・耐震や防塵仕様。従来からあるHDDや光ディスクを使った記録装置に比べ、屋外での使用に、より適したシステム。また、メモリーカードを取り出す際は、筐体(屋外カバー)と録画機本体をそれぞれ開錠するほか、記録画像を見るためには専用ソフトのインストールが必要。さらに録画データも暗号化といった、4重ものセキュリティ対策が施されており、プライバシー保護も万全。学校をはじめ、商店街や官公庁関係など、幅広い分野での活用に適したシステムといえる。 


(2007年2月25日号より)

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