「幼児施設の防犯設備の実態と要求性能」

宮本和彦・松下電器産業・産学連携推進センター研究推進グループ第二チーム参事

宮本和彦氏宮本 報告3として、私が防犯設備の実態と要求性能について報告させて頂きます。ご報告内容を踏まえて、いかなる防犯設備が必要かという括りです。大きい構成として3つ組み立てでございます。
 一点目として、今回、今日のような報告調査に基づいて、どのような内容・視点がえられたかを報告します。もう一つは、国内外の文献調査で、犯行といわれるものがどのように行われるのか、そして4つのカテゴリーの調査結果から分かり、そしてさらに防犯訓練も一応視察させていただいておりますので、その中の経験からも報告します
 それらを相互してITといわれる技術に適用すべき将来の問題点が何か。その問題提起として、それを我々の声でワークショップをプロジェクトで実証しておりまして、そこから出てきたキーワードが施設管理についての緊張感に対してどういう手が将来的に打てるのか。近々、設備を導入する際、どういったものを検討したほうが良いか。
 二点目として、IT技術の中で、よく活用される電子タグ。こういう技術が今どういう技術動向になっているか。そして三点目は、子どもの安心・安全への要望の高まり。そういう間連の政策とこの技術が将来どう融合していくか。ここまでを本日のご報告とさせていただきます。
yochien08082501.jpg 今回担当させていただきましたのは、松下電器の中でもセキュリティの機器を生産販売させていただいているグループです。横浜にございます、パナソニックシステムソリューションズ社という、松下電器の社内分社になっています。大きなカテゴリーは監視カメラ、ハードディスクレコーダー、虹彩認証とかICカードといった侵入物の認証システム、こういうものを研究開発しています。システムでは、タウン監視システム、バイオ認証システムやETCシステム、コンテンツ配信、こういったソリューションを実際に展開しています。

 本日の企画調査の概要の位置づけとしては、研究対象は渡邉先生のほうにお願いしており、ご報告がありましたように、一番目「危機管理研究開発グループ」と二番目「幼児安全対策研究開発グループ」が行い、私どもは三番目として「ITシステムの研究開発」を担当しました。1248園の調査の結果、9施設の視察調査、それぞれの詳細にいついてはご報告がありましたが、その両方から得られる視点をITシステムの中に反映する。安全設備の運用実態調査を発表いたしております。
 調査研究の手法は大きく分け二つ。
 一つ目は、「防犯設備の実態」です。施設に行き平面図を入手しますと、平面図の中で設備が色々設置されていることは説明できますが、今回はあえて立体的な園の行動をシミュレーションいたします。ここから得られるポイントは、「実際に避難されるとき」、「実際に犯人に入られるとき」、その建物でより立体的に、感覚も含めても考察の中に入れたことが大きなポイントです。
 二つ目は今報告がありました「報告1」、「報告2」の様に、非常に多くのデータが集まったわけですが、個別にばらばらで調査をまとめるのではなく、立体的な現状設備に関して、うまく情報をあわせ、運用上の課題も含めた形で問題提起をさせていただきました。
yochien08082503.jpg 通常、防犯設備というものを設計開発するときには、防犯設備だけではなく、家電製品やカラオケもそうですが、実際に機器をお使いになられる方が、どういう認識、意図で使っておれるかを考慮しながら設計にはいります。
 今回、幼稚園でもし襲撃があったらということで、過去の知見というものを参考にするため、様々な文献を調査しました。幼稚園の文献はインターネットで調べても関係資料は一切ございません。その中でアメリカの合衆国シークレットサービス及びワシントンDCの「セーフ・スクール・イニシアティブ」最終報告書がりますが、実は小学校以上が対象であることと、国内における発生している事件とは違います。私どもが注目したのは一つ目として、様々な犯罪が起こるわけで、その犯罪は非常に計画的であるということ。過去起こりました37件の発生を全て現地へ行って分析をし、ヒアリングをし、それから共通傾向を捉えています。膨大な時間と膨大な構想から作られた中で、1つは全て極めて計画性が高く、二つ目は、何らかの犯罪計画の兆候があったという事です。
三つ目が不審者の特定情報という、非常に難しいも課題です。プロジェクトに入った時一番の誤解をしたわけですが、何も起こしそうではない、おとなしそうな子でもこういうような事件を起こしてしまうというような人が多いわけです。また、犯行時間はきわめて短時間。
 それでは、今4つあった課題を念頭におきながら、調査結果から見た防犯設備として一つ目が、「領域性の確保」の分析です。インターホン、人感センサー、開閉センサー等は、各園の半数近くにあたる約56・2%で設置されています。特に、インターホン、テレビインターホンは50・6%の設置です。少し視点を変え、その運用面を考えると、例えば、インターホンが設置されていても、インターホンが付いているところが分かりにくく、実際には使って入られる方が少ない。そのままお客様は入られて、校長室の横を通って階段で2階にというケースも現れています。視認性はそこで確保できるわけですが、実際には把握されておりません。
 二つ目は、実際に事務所というのは平面図で見ると一番右の上、入り口は左の下で、インターホンも設置されていますが、領域から見ると、人感センサーとホーンが設置されてはいます。しかし、インターホンで誰かが入ってきた際、一番奥にある事務所からわざわざ出迎えに行くとなると、非常に運用上の手間がかかります。また、人感センサーは平時から使うとすべてピンポンピンポン≠ニ正確に鳴ります。音で知らせるというのは非常に有効です。ところが、現場では本来危険を知らせるためのシステムが、平時から絶えず鳴る為、それほど耳に抵抗がない、心地良いということ。
三つ目は、比較的携帯電話の音は低周波数を使って皆様方に負担の無い様お知らせする様にしています。一般には非常に心地よいのですが、お子さんたちなど比較的声の高い高周波数が多い学校の環境下では、実は聞こえにくいことが分かりました。
 また、領域性の確保のポイントとして、外と内といった広域領域内について、設備計画が運用形態に対し最適な組み合わせになっておらず、はまだまだ研究が必要です。もう一つ、幼児数の減少から実際には使われていない部屋(閉鎖領域)があり、その部屋は実は領地外という危険性が潜んでいます。
 次に不審者の識別には不審者を識別するのに非防犯カメラは非常に有効だと思われていました。非常に情報量が多く、視認確認のために、なんと30・8%を超える園で運用されています。一方、ICカード(無線タグ)を導入している園舎が3・2%ありました。
yochien08082504.jpg さて、ここで不審者の識別の場合、防犯カメラの映像をモニターの4分割映像で見ています。つまり、複数のカメラが一箇所で監視できますが、画面を見ていた人が実際に気づくのが大前提です。監視カメラは、犯罪が終わった時、犯罪を立証するための題材として運用が進んできました。しかし、予防するとなると、少なからず不審者であることを誰かが認識しなければならず、つまり誰かが不審者が写っている間中ずっと見続けるということが必要になります。従って改善も必要です。結果、防犯カメラは設置しているが「あまり」または「まったく役立たない」機器として、防犯カメラは12%ありました。二つ目が人感センサ―で11%、そして開閉センサ―も5%ありました。
防犯カメラモニターで常に監視するという工数的な困難がひとつ。またセンサ―の誤検知を確認することも人的負担が非常に大きいということです。
そもそも不審者というのはどういう人なのか、というのも定義がわかってきます。
 ひとつ問題提起があります。不審者ということを識別する場合、3・2%は、もうすでにICタグ等を導入していましたが約6割は「非常に有効です」といわれます。しかし、設置・運用面で見ると、様々な部分でなるべく手がかからず、間違いなく識別をする事が重要です。歩行者の方にテストとして、「名札を付けてください」と、なかなかつけていただけない。というのも「どうやって徹底するか」や、「名札が効率的に識別できか」と問われるからです。そこで、識別電波による出入管理として電子タグを扱う方が増えてきました。
 三点目は、幼稚園へのアンケート調査では非常ベル道入は59・7%。放送設備は72・5%、その他設備も24・7%ありました。IT技術の中でも一番普及率が高いのが携帯電話・PHS等の移動携行が可能なものは、わずか14・1%でした。事務所だけでなくて、立ち歩いている先生方が持つ携帯電話などは、なぜが普及していない。
私どもが設計している携帯電話などを携行しますと、たとえばお子様が持ってもポケット等に入れることが多く、怪我をしてしまう。非常に大きな課題が見えてきました。
次に事態の周知ですが、設備は設置しているというアンケート結果はありますが、旧施設の中ではありますが、放送機器は複数個所に同時通知できます。しかし、有効な伝達範囲をあらかじめシステム的に決め、他のご迷惑にならないように設置するのはシミュレーションで分かりますが、実際、聞こえない場所が出てきます。また携帯型の無線機も同時通知ザウンダの中ででは取り入れないケースが多いという事です。
また、外部への通報では、施設外へ通報できる設備が45・6%、警察への直通通報ボタンを設置しているのは3施設、警備会社に直接通報できるのは4施設と少ないです。短時間に行われる犯罪・犯行に対して、警察に来てもらうまでの時間をどうしのぐかというと、避難経路や一次避難場所などの確認と設置が有効といえます。そのために建て替えず、設備で対応するとなると、実際に避難経路がある場合、防犯ボタンをつけているケースがありますが、入り口から入ってきたとき、保育室にいち早く伝えない限り、本当に早く伝わるのかが一つ目の課題。二つ目の課題は、すでに保育する部屋からみんな逃げたとき、ボタンがありながらうまく使えない事態もあります。
 次に、防犯訓練視察からの問題点ですが、私どものプロジェクトが一番ポイントとなったのが時間です。逃げられる時間。また、いかに速く退避できるかということ。約60人の園児のみなさんを職員6人で、不審者が侵入した場合、60名の園児のみなさんがすでに避難できるまでに155秒しかかかっていませんでした。当初5分程度に縮めなければいけないと想定していましたが、すでに皆様方の努力でそれよりも早い時間で逃げられることも分かりました。
    ただし、防犯訓練をしても不安が出てくることもわかりました。実際に不審者がナイフ部等を携行してきた場合、一次対応をする責任者は時間を食い止めるのがマニュアルにあります。しかし、問題は、本当にその場に出くわした時、大声で知らせることができるか。犯人に、少し緊張感を与えて暴れられるという不安というのがあります。では、大声を出さずに、知らせるつてがあるか。残念ながらそういう機器はございません。
 名古屋でバスジャック事件がありましたが、運転手さんが普段から訓練していた非常ボタンを押すことはできなかったと聞いています。本当に園でも不審者が入ってきたときに、皆さんに早く伝えるという行為ができるのでしょうか。
 二つ目は笛の音、携帯電話、防犯ブザーなどは、聞こえなということ。三番目は警察に伝える、犯人に対する事も大事ですが、園のお子様たちをちゃんと守ることが一番大事です。その際、常に人員数が確認できることも重要です。
 そのため、大きくない・危なくない情報受信端末、不審者に気付かれず、分散した職員の現在位置相互確認手、園児全員がどこにいるかを確認する手段はありません。現在はすべてみなさんの自助努力、または時間・、苦労でリカバーできているだけです。
 以上のように、今回のプロジェクトの調査結果は、将来に向けたIT技術すべて方向性を示すことができたと考えております。また、個々の幼稚園の先生方から色々な打ち合わせをさせていただいた結果、その共通にあるものは何ですかということで、ワークショップを開かせていただきました。そこでは「緊張感」がキーワードでした。施設周辺に存在するかもしれない、しないかもしれない不審者への潜在的な不安というのを払拭できるでしょうか。現在、幼稚園は不審者情報をFAXやネットで毎日配信しますが、無視することもできません。この手の潜在的な不安を払拭できるIT機器がなく、苛立ちを皆さん持っています。
二つ目はボランティア・地域支援の方により、ものすごくみなさん方に守っていただいていることに感謝するしだいです。しかし、計画的な犯行で狙われたときについて、「もし」と思うと、まだ緊張感が生まれます。三つ目が、いつ起こるかわからない、地域では起こっていないからといっても起きたら大変。都市型の先生方は、外はみんな不審者だといいます。逆に地方の方はみなさん知り合いだから、不審者はいない、と言います。そうじゃない。時々知らない方が歩いていると不審者に当たる。結局、子どもには「ついていっちゃだめですよ」というのもストレスになってきているというのが実態です。 
 一方、「ICタグは非常に役立ちますよ」というのが65%。また、ICタグを導入している施設では、不審者か不審者じゃないか分からず、毎回確認をする時間もない。更にいつ起こるか分からないし、カメラでモニタリングするような手もないときは、やはり100%常時施錠する事が大切です。
 次にお話するのが、私どもは「領域性の確保」「不審者の識別」について、別々にIT機器の適用性と説明を申し上げましたが、近々にできるものは何か。電子タグで対応できないかというのが「ユビキタス街角見守りロボット」のど提案です。
 全国16箇所で国の予算が付いた中、私どもは三箇所で実証実験してまいりました。不審者と領域性を考えた場合、お子様のほか、保護者の方にも持っていただければ、園の訪問の場合、みなさんがどういう方々かが集中的に短時間に伝えることができます。携帯電話でもパソコンでもできるわけですし、新しいネットワークは必要なく、無線で対応できるものです。昔は、ICカードは必ずかざさなければならなかったのですが、一方、ICタグや電子タグを子どもや保護者が身につけた場合どうか。平成17年12月に「犯罪から子どもを守るための対策」が検討され、18年には「安心加速化プラン」で、具体的に地方自治体、学校などの実情に合わせた安全確認システムの導入・普及が掲げられました。また、平成22年から、あと2〜3年後には、地域のニーズに配慮しつつ、ユビキタスコミュニティの課題を地域で解決できるよう、ユビキタスの地上インフラの充実が明確にされました。
 では、電子タグのプライバシーはどうか。電子タグの法律は、平成16年ぐらいから研究開発が進められています。ガイドラインが出ています。
ICタグは制約を課す為、一定のガイドラインを策定して、行動批判を示していきます。また、電子タグに関するプライバシー保護ガイドラインが公表されていますが、改訂が進むほか、一団体の案のため、拘束力は弱いといえます。更に、導入することの運用の難しさを並行的に進めなければならないと見ています。まだスタートしたばかりで、様々な場で努力をしてまいりたいと思います。

(セキュリティ産業新聞2008年8月25日号より)

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