風の軌跡(99)

新しいリーダーを訪ねよう

イラクで日本人3人が人質になった。「ついに日本人も狙われたか・・・」誰もが内心、懸念していたことが現実に発生したわけだが、目隠しされて拘束された3人の映像を見ると、やはり衝撃を受ける。
個人の才能や資質、職業に関係なく殺戮が行われるのが戦争、日本人だということで狙われたのだから、気の毒だが不運というより他ない。戦争放棄の国だから日本人は攻撃されないだろう、とまるで自分たちだけオブラートに包まれた安全圏の中にいる感覚は時代錯誤になった。

桜満開の時期、京都まで出かけた。東京ではテロを警戒して駅構内のごみ箱を撤去したり警察官や警備員の姿が目立ったが、京都に着くと別世界、花見や観光旅行の年配者がいっぱいでうきうきざわざわ、安全で幸せな人々は色とりどりの弁当やお土産に群がっていた。

電車を乗り換えて数駅、某会社の新社屋についた。花が飾られた吹き抜けのロビーから外を眺めると目の前いっぱいに琵琶湖が広がっている。「うわーーー」思わず声を出た。波打ち際まで数分、つがいの白い鳥がひたすら羽づくろいをしている。釣り人の船が2、3隻、大きな声で呼びかければ、振り向いてくれそうな近くに浮かんでいた。かしこまったスーツなど「やーめた」と脱いで、湖水に足を浸し戯れたい衝動に駆られる。
「夏になったら、昼休みにちょっと一泳ぎ、なんてするんでしょう?」「波打ち際で家族を呼んでキャンプなんていうのはどお?」羨ましくて側の社員に尋ねた。「サアー」ニコニコ。
「なぜ新社屋建設をこの地に決めたのか、この風景を見て納得しました」
社長さんもニッコリ、あたり一面、溌剌として湖畔の光が満ち溢れていた。

実際に会って初めてわかる人、その本質。異郷の土地も訪れて自分の体の五官を使って初めて理解出来る。頭だけの理解ほど恐いものはない。「経験・体験こそ情報収集のベース、身体を使わない情報は、ほんとの情報じゃない、と肝に銘じよう」と社員に言ったら、待っていましたとばかりに「率先して企業まわりを」と投げかえされた。

トップインタビューを2社ほど続けて行ったが、創業して何十年にも渡って継続していく方々の人となりに触れて久しぶりに感動した。「継続こそ力」「まだやることが残っている筈だ」「企業人である前に人間としての自己確立を」語られた言葉がいくつも耳に残っている。セキュリティ業界の新しいリーダー像をぜひ紹介していきたいと思う。

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