風の軌跡(196)

インターホンの切り忘れ

 東京商工会議所女性会では、6月20日から22日の3日間、新宿西口広場で、『共生(ともいき)のこころ展』と銘打った参加型展示イベントを開催する。テーマはエコロジーや環境問題、災害時の被災者支援ボランティアといった社会問題に対してより関心を抱いてもらい、身近な暮らしの中に、改めて共生と言うことを考えてもらうための機会を提供する、とあった。
 将来の子どもたちへ、そして未来の地球へのメッセージ、と言うような言葉も見えるが、残念なことに防犯やセキュリティなどというテーマは見えない。

   セキュリティ業界に関わっていると、頻発する『(殺すのは)誰でも良かった』などと犯罪者が口走る無差別殺人や子どもをターゲットにした性犯罪などが、深刻な社会問題だと思い込んでしまうが、視点を変えれば、足元のぐらついている治安より環境問題のほうが、将来に向けては大きな深刻な問題なのかも知れない。
 絶滅の危機が心配されている白熊に関しては、白熊の写真展と併せて縫いぐるみの白熊を登場させる。写真から、ぬいぐるみまでは、親熊と小熊の足跡を通路に並べて案内すると言う。猫の足跡くらいしか知らない私は、このアイデアには感服。
会場で子どもたちが小熊の足跡の上を、ケンケンパーと跳ねてる姿を想像してしまった。
テープカットには鴨下環境大臣や石原都知事も来賓者として参加される。1日に2万人の人が通行するという西口広場、集客抜群のイベント会場なのかも。

   毎日ベランダの喫煙所で会う彼女が、1級建築士だと聞いて目を見張った。
「建築設計者は私の憧れの職業で…」
 仕事のメインは新築物件の設計ではなく中古のビルなどを査定して改良・リニューアルして売る。不動産の建物の査定に今は、建築設計者による耐震の調査が欠かせないのだという。環境対応も欠かせない。躯体の部分に手を加えるのだから、防犯は後回しのようだ。  

 10代の子どもを育てながら建築分野でのびのびと働く彼女、でも時々ヒヤッとすることもあるらしい。
「夜、自宅のマンションの廊下を通っていたら、夫と子どもの声が外までもろに聞こえてくる。何?これ?あわてて自宅のドアを開けた。インターホンの切り忘れで、家の中の会話がそのまま外まで…機器は怖いねえ」
 内と外、機器を通して繋がっているのをつい忘れるんですよね。
 三林和美

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