風の軌跡(194)

無限に拡大するセキュリティ

 病院の傍らの調剤薬局に入ると、珍しく若い人が何人も待っている。いつも女性や年配者が数人という光景なので、若い男女がどうしてこんなに多いのか、つい薬の説明をしている薬剤師さんの声に耳をそばだてる。彼らのほとんどが花粉症で病院に来た人々だった。涙とくしゃみで苦しい、とは聞いていたが、これほどまでに感染者が多いとは、とあらためて驚いた。会社に来ると女性たち二人も目薬を離せず、くしゅんくしゅん。花粉の悲惨予報画に地上会話に欠かせない話題となってきた。ひとまず生命に関わるほどにはひどくならないようなのでインフルエンザとは異なるのであろうが、春の風土病のようになった。ぽかぽか天気で東京に桜の開花宣言が出たが、桜が咲くこれからスギ花粉も多いのだとも聞いた。

 テレビではまたもや、通り魔殺人のニュース、ゲームの中のばたばた人を殺す殺人ゲームが現実の路上でたびたび起きている。類似犯罪というより物まね犯罪といいたくなるが、現実とゲームの中との境や善と悪の境目を軽く乗り越えて、次々と若者が切れて刃物を振り回す。ある開田などに参入していく若者たちは、インターネットを通じて洗脳され、テロリストになると聞いたが、殺人ゲームも一部の若者を洗脳して殺人者に導いていく要素があるのだろう。
 このような犯罪に対して防御策やセキュリティ機器は何ができるのだろうか、と危ぶんでしまう。昔で言えば、悪魔が乗り移った、とでも言うのだろうか。
 年毎にセキュリティの分野が拡大していく。
様々な読者の声を聞く。「情報セキュリティ分野を元多く」「映像分野がすごいですよ」防犯マンションが地方にも広がってきて」「外周警備を増やす施設が増えて、センサー分野も面白い」「偽装防止策」「テロ対策」「住宅火災警報機の普及も追わなくては」「原子力発電所はどうですか」次々とテーマが続き、迷路に迷い込んだように動きが取れなくなる。

 セキュリティ企業も世界を視野にグローバル企業への動きが顕著になってきた。
「海外情報をもっと」という要望も聞く。
私たちはどこに向かうのか、紙面のターゲットをどこに絞るか、いつもの悩ましい問いに帰っていく。
「環境問題は取り上げないのですか。今、旬ですよ。地球規模の安全・安心、大きなセキュリティですよ」
もうお手上げ。
三林和美

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