風の軌跡(190)

歌舞伎のような目黒雅叙園

大寒、文字通り日本列島を寒波が襲っている。『東京でも明日は雪になります』この頃のテレビの気象予報は実に楽しい。若い可愛いお嬢さんなどが、気象予報士の資格を取り、日本の地図を前に低気圧や高気圧、雪や曇、晴マークを右に左に動かしながら、軽妙にかつ理路整然と説明する。感服して、ほとんど100%信じてしまう。
 ところが次の日、雨も雪も降らずに晴れ。雨雪を降らす雲の南下する力が弱かったとか。なるほど。いいなあ、気象士は。予想が外れても各局みんな揃って外れるからお咎めなし。はるか空の上の気流の流れ、ころっと変わっても、仕方がない、と誰もが思う。「明日は東京も雪です」。また言ってる。朝起きたら、窓の外は白い粉雪が舞っていた。やはり100%信じてしまう。

   ネットワークカメラの取材をしていると、郵貯と新幹線に設置されるカメラの話題が出た。いよいよ車両にもカメラが付く、という。  週末、関西に出張した社員が新幹線の車内での対応に怒り狂っていた。
 東京での仕事を終え、翌日、神戸での仕事のために最終の新幹線に乗った。疲労のきわみ、眠るためにグリーン車に変更。車掌に案内された席は隣が空席だということで、有難う、と礼を言って座ったという。ところが程なく女性のアテンダーが男性を隣に案内して来た。通路の向こうの席は空いたまま。
「新横浜を出て名古屋まで2時間、停車駅なし。名古屋で隣席の人は降りたが、車掌に『何故、向かい側の席が空いているのに片側に詰め込むのか。例え仮オファーがあったとしても、新横浜を出て10分もすれば、キャンセルして空席というのは分かるだろう。なぜ客をゆっくり休ませる臨機応変の配慮ができないのか。』と抗議した、という。通常ならグリーン車などには乗らない身分、5000円費やしても休みたい、という時がある。カメラ設置は防犯用、テロ対策だろう、などと勝手に推測するが、乗客へのサービス向上にも活用するのだろうか。

 某協会の懇親会が目黒雅叙園で開かれ、はじめて館内に入った。これでもか、これでもかの豪華さに驚嘆。十二単衣の平安朝の男女の絵から江戸、明治初期までの美人画が天井や壁面を飾る。通路の脇の池には、観葉植物の葉が浮いていた。現代の和風情緒は、透明性やシンプル性からはなれて歌舞伎のようにどぎつく化粧されているのだろう。
 三林 和美

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