風の軌跡(111)

乱世を勝ち抜く城主の気概

大雨の後、やっと晴れた。つい青い空に見とれてしまう。澄みきったスカイブルーの色、光を含んで輝く白い雲。空のちりもゴミもいっさい雨が洗い流したに違いない、等と目の裏に記憶している濁った空の色と比べてみる。

「東京の空ってこんなに奇麗だったのねえ」「今夜にはまた雨になるそうですよ」運転手さんがいう。「そしてまた、洪水になって人が死ぬのですかね。土砂の下敷きや水に流されて・・・」

青い空を眺めながら暇つぶしの会話。逆巻く濁流や土砂が崩れ、家もろとも流される恐怖を私達は知らない。事件や災害の悲惨な情況を聞いても、外国のニュースやドラマの内容と同レベルでとらえているのに気づく。気の毒に、といいながらそれで終わり。自分に何かできることはないか、と行動にまでは繋がらない。


そして夜になると、「せっかく人間に生まれたのだから、少しは人の為になることをやらなくては・・・。雑事に追いまくられて、うんざりしながら時間を過ごしていては、いつか後悔する」と行動が伴わない自分を反省。


被災地に多くのボランティアが集まって支援活動をしている、と記事があった。実際に行動する人々が増えてきたのだ、と明るい気持ちになる。身体を使って汗を流してこそボランティア、日本に20万人とも言われる引きこもりの若者たち、是非参加して、少しは人の役に立つことを始めてみては?。きっと人生観が変わるのではないだろうか。そういう若者が集まれば、私もムチを持って参加してみたい、と内心思った。なぜムチか、と問われると、同級生を殺害した13、4歳の少年犯罪を見ると、ついつい「ムチででも引っぱたいてお仕置きしたら」とかねがね思ってきたからかもしれない。思うだけで行動が伴わないので、犯罪者にならないでいる。


忍者屋敷のレストランで食事をよばれた。店内は真っ黒の建物で暗い入り口からまるで洞窟に入っていくような錯覚に陥る。暗闇の中、前と後ろにドアを開け閉めされながら迷路を進む。頭を天井にぶつけたり、足元も覚束ないところを通ってやっとテーブルまで案内される。様々な仕掛けも興味深かったが、何よりのご馳走は相手の社長さんとの会話の中身だった。社員こそ会社の宝、言うのはたやすいが、多数の社員を抱えてオーナー企業の経営者として何十年も継続していくのは大変なこと。「長年勤続した社員の子供が入社したい、と言ってきたら、こんな嬉しいことはない。それが夢です」1国1城の主の気概あればこその言葉、「必ず実現しますよ」ただ敬服。そしてふわふわの自分を反省。

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