風の軌跡(105)

時の中で培われるもの

昨年11月、東京ガス本社で開催されたGITA―JAPAN主催・GITAコンファレンスの内容をまとめたGITAレポート「GISと危機管理」を7月13日発行する。

当社がGISをセキュリティに重要なツールとして取り上げてきた縁で、後援という形で参加させていただいた。最初にカタログを見た時に、講師陣の素晴らしさに圧倒された。そしてもっと驚いたことが、これだけの人材が1個所に集まり、2日間、講演される内容を、記録し、文章化する計画が当初、なかったことである。


当紙では度々講演やインタビューを文章化して紙面に掲載している。それなりの労もかかるが、講演者の長年の研究や知識を一会の情報共有ではもったいない。文字にまとめれば紙出版物は一人歩きして多くの人々に伝えられる。この情報のセきわめて少ないセキュリティ業界では、なおさらのこと。

GISを語れる講師陣の知識は、一朝一夕のものではない。いわゆる講習会等、例えば車やガラス、鍵や消火器の選び方等のハア・ツウ・セミナーとは異なる。2日間、講演される講師陣の頭脳を集めれば…と想像すると、居たたまれなくなった。講師の口元を水道に例えれば、流しっぱなしの水、知識満載の言葉が消えていく・・。もったいない!。

幸いにGITA―JAPANの方々も同じ思いでいらしたらしく、全面的にご協力いただいて今回の出版が実現した。しあわせ。心からお礼を申し上げます。GIS関連の方々、必読書です。


少年犯罪の急増で少年法を取り上げた。人は成長の過程で、自我を主張し反抗期を得て、大人になっていく。社会や人間のルールを憶え、人としての骨組みを作る反抗期、いわば麦踏み時期に、日本は父親も社会もその役割を放棄してきたのだろう。先生の余談の中でオランダの話を伺った。オランダ人は一生に何度も引越しをするが、富裕になるに連れてん年代を経た古い家屋に移るという。日本では新しい家ほど好まれる。新しいもの好みは人間についても同じ。年長者への敬意は薄れ、おじさん改造講座等では年配男性が社会マナーもおぼつかない若い女性に恰好悪い、と批評される。

料理番組で漬物を電子レンジで作るインスタント手法を紹介していた。漬物ごとき似て非なるもの、蟹をカニかまぼこで誤魔化す様なものだった。人も物も時の旅人、本物は時間の中で培われ、昨日今日では作り出せない。

「歳をとるとインスタントのまずいものでお腹いっぱいより、美味しい味を少し食べたいね」レストランで友と食事中。ふと側をみると若者が彼女とべたべた騒々しい。「男も同じね。それなりの年月を経ないインスタントはまずい」しっかり付け加えた

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